KDDI、AIエージェントでネットワーク障害を自動特定 — 年内には「復旧もAIで」
その他 2026年02月22日
#KDDI #AIエージェント #障害

KDDI、AIエージェントでネットワーク障害を自動特定 — 年内には「復旧もAIで」

通信障害が起きたとき、原因を突き止めるのに何時間もかかる——。
そんな課題に、KDDIがAIエージェント(自律的に判断・行動するAI)で挑んでいる。
クラウド環境上の音声通話、データ通信、au PAYなどのサービスにおける障害の原因をAIが自動で特定するシステムを導入し、年内には復旧作業や保全業務までAIに任せる計画だ。
「人がやるしかない」とされてきた通信インフラの運用保守が、大きく変わろうとしている。

概要

KDDIがAIエージェント技術を活用し、音声通話・データ通信・au PAYなどのクラウド環境上のサービス障害の原因を自動で特定するシステムを運用開始。
システム運用情報・障害履歴・ステータスを集約した「デジタルツイン」(現実のネットワーク環境をデジタル上に再現したもの)をAIが分析する仕組み。
年内には復旧・保全作業もAIで自動化する計画が進んでいる。

詳細

1. なぜ通信障害の原因特定が難しいのか

通信キャリアのネットワークは、基地局・回線・サーバー・ルーターなど無数の機器で構成されている。
障害が発生した際、どの機器のどの部分に問題があるかを特定するには、膨大なログデータを人間のエンジニアが一つひとつ確認する必要があった。

しかも障害は複合的に発生することが多い。
たとえば、ある基地局の不具合が別の地域のルーターに波及し、さらにその影響でサーバーの処理が遅延する——このような連鎖的な障害では、「本当の原因」を見つけるまでに何時間もかかることがある。
その間、ユーザーは通信が使えない状態に置かれる。

2. AIエージェントはどう動くのか — デジタルツインとの連携

KDDIが構築したシステムのキーワードは「デジタルツイン」。
音声通話、データ通信、au PAYなどのサービスに関する運用情報、障害履歴、ステータス情報を一元的にデジタル空間上に再現している。

障害が発生すると、AIエージェントがこのデジタルツイン上のデータを自律的に分析。
相関分析やアラーム状況・メンテナンス状況の統合分析を通じて、原因の特定までを人間の指示なしに実行する。

ここでのポイントは「自律的に」という部分。
従来のAI活用が「人間がAIに質問し、AIが回答する」形だったのに対し、AIエージェントは「AIが自分で判断して次のアクションを起こす」。
問い合わせを待たず、障害を検知した瞬間から自動で原因分析に入る。

3. 年内目標 — 復旧・保全もAIに任せる

KDDIの計画は原因特定で止まらない。
年内には復旧作業や保全業務もAIエージェントが担えるようにする方針だ。

ただし、セキュリティや機密性に関わる領域では慎重な対応が必要。
すべての復旧作業をAIに任せるのではなく、「安全に自動化できる範囲」と「人間の判断が必要な範囲」を切り分けた段階的な展開になる見込み。

これが実現すれば、「障害発生→AI原因特定→AI復旧」という一連のプロセスが自動化される。
エンジニアがルーティンの障害対応から解放され、より高度な設計・改善業務に集中できるようになる可能性がある。

4. 「AIエージェント」とは何か — 通信インフラでの実践的な回答

AIエージェントは2026年のAI業界における最大のキーワードの一つ。
「チャットで質問に答えるAI」から「自分で判断して動くAI」へ — この進化が多くの業界で始まっている。

KDDIの事例が際立つのは、「障害の原因を見つけて直す」という誰もが理解できる具体的な業務にAIエージェントを適用した点。
「AIエージェントって結局何ができるの?」という疑問に対する、実務ベースの回答と言えるだろう。
通信インフラは一度止まれば社会全体に影響が及ぶ。そこにAIエージェントを投入するという判断は、技術への信頼度の高さを物語っている。

まとめ

KDDIのAIエージェント導入は、「AIが考えて、AIが動く」時代の具体的な一歩。
通信障害という身近な問題に対して、原因特定から将来的には復旧まで自動化しようとする取り組みは、AIエージェントの実力を測る格好のケースになる。
今後、同様のアプローチが電力・交通・金融といった他のインフラ分野にも広がっていくか注目したい。

出典