使っていたAIが急に消えたら?|"第2のAI"を国別・価格で並べてみた
コラム 2026年06月17日
#AI #Claude #OpenAI #セカンドAI #コラム

使っていたAIが急に消えたら?|"第2のAI"を国別・価格で並べてみた

先日、こんなニュースが流れてきました。

「Claudeの新しいモデル “Fable” が、アメリカ国内の一部の人しか使えなくなった」

参考記事:一般公開からわずか3日、Fable 5が緊急停止

……。

AIって、ある日突然、当たり前のように使えなくなることがあるんですよね。
国の方針だったり、料金プランの急な変更だったり、理由はいろいろあります。
私自身、Fableが使えなくなったときに、別のAIへ引っ越しました。

そのときに初めて、「いつものAIが急に使えなくなることって、本当にあるんだな」と感じたんです( ;ㅿ; )
だから今日は、お気に入りのAIが使えなくなったときに慌てないために、引っ越し先になりそうな「もう1つのAI(セカンドAI)」を今のうちに見つけておくための記事です。

世界中のAIを、作っている国値段で並べた“地図”として整理してみました。
「次に試すならこれかな?」と思えるAIを1つ見つけるきっかけになれば嬉しいです:)


なぜ「もう1つのAI」がいるの?

「1個で十分動いてるのに、なんで2個目?」

理由は3つあります。

① ある日、急に使えなくなる

さっきのFableの話がまさにそれです。
「アメリカに住んでいる外国籍の人もダメ」と、国の方針でバッサリ線が引かれました。
自分は何も悪いことをしていなくても、住んでいる場所や持っている国籍で、いきなり締め出されることがある。これが現実に起きています。

② 料金が急に変わる(しかもウワサも飛ぶ)
「使った分だけ課金する重量課金制になるらしい」「いや、ならないらしい」——こういう話が、なる・ならないで何度も揺れます。
最近も「Claude Codeの月20ドルプランが廃止される」というウワサが流れましたが、調べてみたら今もちゃんと現役でした。
情報そのものが揺れるので、振り回されないためにも、別の手を持っておくと安心です。

③ "全部アメリカ製"はちょっと危ない
私たちが普段使っているAIを思い浮かべてください。
Claude(Anthropic)、ChatGPTやCodex(OpenAI)、Gemini(Google)——ぜんぶアメリカの会社なんです。

もしアメリカの方針で「このへんのAIは輸出ストップ」となったら、いつも使っている道具がいっぺんに全部止まる可能性がある。だから、アメリカ以外の国のAIも1つ知っておくと、それが保険になります。


まず知っておきたい「AIは2階建て」の話

セカンドAIを探す前に、ひとつだけ。
AIの道具は、ざっくり2階建てでできています。ここが分かると、地図がぐっと読みやすくなります。

意味 たとえ 具体例
2階 ハーネス 乗り物 Claude Code、Codex、Cursor
1階 LLM 頭脳・エンジン Claude、GPT、Geminiなどの中身

「頭脳」は、AIが実際にものを考える部分。
専門的にはLLM(大規模言語モデル)と言いますが、要はAIのアタマそのものです。

「ハーネス」は、その頭脳を呼び出して使うためのアプリ。
Claude Codeみたいなツールは、中にアタマ(エンジン)を積んで走る乗り物だと思ってください。

この2階建てが分かると、逃げ道がきれいに見えてきます。乗り物はそのままで、中のエンジンだけ別の国のものに載せ替える——そんなことも、実はできるんです(後でやってみた話をします)。

では、1階(頭脳)の地図から見ていきましょう。


第1階:頭脳(AIのアタマ)の世界地図

いま世界で使える主なAIの頭脳を、値段で並べてみました。

AIの頭脳 作っている会社 料金の目安(読む / 書く)※
🇺🇸 GPT-5.5 OpenAI $5 / $30
🇺🇸 Claude Opus 4.8 Anthropic $5 / $25
🇺🇸 Claude Sonnet 4.6 Anthropic $3 / $15
🇺🇸 Gemini 3.1 Pro Google $2 / $12
🇺🇸 Grok 4.3 xAI $1.25 / $2.50
🇺🇸 Llama 4 Meta 無料(自分のPCに入れて使う)
🇨🇳 DeepSeek V4 DeepSeek $0.44 / $0.87
🇨🇳 GLM-5.1 Z.ai(智譜AI) $1.4 / $4.4
🇨🇳 MiniMax M3 MiniMax $0.30 / $1.20
🇨🇳 Qwen3.7-Max Alibaba $2.50 / $7.50
🇨🇳 Kimi K2.6 Moonshot AI $0.60 / $2.50
🇫🇷 Mistral Medium 3.5 Mistral AI $1.5 / $7.5
🇯🇵 Namazu Sakana AI (後述・少し特殊)

※料金は「文章を100万トークン(トークン=AIが文章を数える単位。ざっくり"文字数"に近いイメージで、100万トークンはおよそ本2〜3冊ぶん)やりとりするごと」に、読むとき / 書くときでかかる目安です(米ドル、2026年6月時点)。

数字だけ見ても分かりにくいので、この表から読み取れることを3つだけ。

POINT① 中国のAIは、びっくりするほど安い
表の上のほう(アメリカ勢)と下のほう(中国勢)を見比べてください。
たとえばGPT-5.5が「読む$5・書く$30」なのに対して、DeepSeek V4は「読む$0.44・書く$0.87」。
ざっくり5分の1〜10分の1の値段です。性能もぐっと上がっていて、「安かろう悪かろう」ではなくなってきました。

POINT② Llamaは"買い切り"じゃなくて"無料で持ち帰り"
Meta(Facebookの会社)のLlama 4だけ、料金が「無料」になっています。
これは、AIの中身を丸ごと自分のパソコンにダウンロードして動かせるタイプだから。
月額もAPI料金もかかりません(そのかわり、動かすにはそこそこのパソコンが必要です)。社外に出したくない機密のコードを扱うときなどに心強い存在です。

POINT③ 日本のSakanaは「自前のアタマ」とはちょっと違う
「日本のAIは?」と気になりますよね。Sakana AIという日本の会社が「Namazu」というAIを出しているのですが、調べてみると、これはゼロから作った自前のアタマではなく、DeepSeekやLlamaといった既存のAIを"日本語が得意になるように"鍛え直したものみたいです。
Sakanaの本当の強みは、AIに自分でAIを改良させる研究手法のほう。なので「純国産のアタマ」はまだこれから、というのが正直なところかなと思います。

ちなみに、ここに挙げたAIの多くは、公式サイトのチャットで無料お試しができます(無料の範囲は時期やプランで変わります)。
いきなり有料契約しなくても、まずは触って肌に合うか確かめられます:)


第2階:道具(乗り物)の世界地図

頭脳が分かったら、次は2階の「乗り物」です。

ポイントは、道具によって「中のエンジンを自分で選べるか」が違うこと。自分の好きな頭脳を持ち込んで挿せるしくみを、BYOK(Bring Your Own Key=自分のカギを持ち込む、の略)と言います。
難しく聞こえますが、要は「好きなエンジンを後から積み替えられる乗り物」のことです。

道具(乗り物) 作っている会社 料金 好きな頭脳を積める?
Claude Code Anthropic 🇺🇸 Pro 月20ドル〜 △(基本はClaude。※裏技あり・後述)
Codex CLI OpenAI 🇺🇸 ChatGPT課金〜(CLI自体は無料・OSS) △(基本はGPT)
Cursor Anysphere 🇺🇸 無料〜 / Pro 月20ドル ○(Claude・GPT・Geminiから選べる)
Aider 有志のOSS 🇺🇸 無料 ◎(なんでも積める。中国製もローカルもOK)
OpenCode Anomaly 🇺🇸 無料 ◎(75社以上の頭脳に対応)
Cline Cline 🇺🇸 無料 ◎(30社以上)
Continue Continue 🇺🇸 無料
Qwen Code Alibaba 🇨🇳 無料〜 ○(Qwen中心)
Kimi Code Moonshot AI 🇨🇳 無料〜 ○(Kimi中心)

太字にしたAider・OpenCodeあたりが、「どんな国の、どんなアタマでも積み替えられる」乗り物です。しかも無料。ここがセカンドAIの逃げ道の本命になります。

実際にやってみました:Claude Codeの中身を中国製に載せ替える

普段メインで使っているClaude Code。
実はこの乗り物の中身(エンジン)だけ、中国製のGLMというアタマに載せ替えてみたんです。

結果は——動くスピードはClaude CodeのOpasのときとほぼ同じ
「お、これでも全然いけるじゃん」と正直びっくりしました。料金も中国製なのでぐっと安い。

ただ、いいことばかりではなくて。Claude Code純正の便利機能の一部が、エンジンを変えたら使えなくなりました
そこはちょっと惜しかったです。


逃げ道の作り方|もしClaude Codeが止まったら

最後に、いちばん実用的な話を。「いつも使っている道具が、明日急に止まったら?」を、具体的に3パターンで考えてみます。

パターン1:同じ会社の別モデルに替える
いちばん手軽ですが、注意点が1つ。
Fableが止まったとき、同じClaudeのOpusも調子がいまいちでした。
同じ会社のものは、まとめて止まったり、まとめて調子を崩したりすることがあります。
応急処置としてはアリ、くらいに考えておきましょう。

パターン2:別の会社の道具に乗り換える
私が実際にやった、Codexへの引っ越しがこれ。
Claudeでやっていた作業は、Codexでもだいたい同じことができました。メーカーごと変えるので、①の弱点をカバーできます。

パターン3:なんでも積める乗り物に、別の国のアタマを積む
AiderやOpenCodeのような「どんなアタマでも積める乗り物」に、中国製のDeepSeekやGLMを積む。
これなら道具の国も、アタマの国も、両方とも変えられる
アメリカが一斉に止まっても、これがあれば走り続けられます。

今日の小さな一歩

とはいえ、いきなり全部やる必要はありません。気が重くなっちゃいますよね。
おすすめは、**「気になるAIを1個だけ、無料で触ってみる」**こと。

たとえば、DeepSeekやGeminiは公式サイトのチャットで無料で試せます。「いつものとどう違うかな?」と、5分いじってみるだけ。それだけで、いざというときの第2の選択肢が1つ増えますよ:)


まとめ|AIは1個に絞らない時代へ

今日の話を、ぎゅっと振り返ります。

  • AIは、国の方針や料金変更で急に使えなくなることがある
  • いつものAIが全部アメリカ製だと、まとめて止まるリスクがある
  • AIは2階建て(道具=乗り物 + 頭脳=エンジン)でできている
  • 中国・欧州のアタマは5〜10分の1の値段で、性能も上がってきた
  • AiderやOpenCodeのようななんでも積める乗り物に、別の国のアタマを積めば逃げ道になる
  • まずは気になるAIを1個、無料で触ってみるところから

「AIは1個だけに絞らない」。これからは、そんな身軽さが、いざというときの安心につながると思っています。

この地図を片手に、あなたのお気に入りのセカンドAIを探してみてください。ひとつ見つかるだけで、ずいぶん心強くなりますよ:)


出典・補足

  • 各AIの料金・モデル名は2026年6月時点で確認できた範囲(OpenAI/Anthropic/Google/各社公式ドキュメント・公式料金ページ、補完としてOpenRouter等のリーダーボード)。料金プランは改定が頻繁なため、契約前に必ず各公式サイトで最新をご確認ください。
  • Anthropic公式料金: https://claude.com/pricing
  • Gemini API料金: https://ai.google.dev/gemini-api/docs/pricing
  • DeepSeek料金: https://api-docs.deepseek.com/quick_start/pricing
  • ※ベンチマークの細かい点数は、出どころが確認しきれない/モデル更新ですぐ古くなるため、本記事ではあえて載せていません。「だいたいこのクラス」という温度感で見てください。